こんにちは、なーさんです(Twitter)
ICUで働いていると、実習にきた看護学生から
一年目からICUを希望するのはありですか?
という質問をよく受けます。
その場ではオブラートに包んでいますがハッキリ言ってお勧めしません
僕自身『新人からICUに入職し絶望した』経験があり、以降も新人看護師の苦悩をみてきて『新卒からICUは止めた方がいい』という結論に達しています
今回は『新卒から ICUは止めとけ』と思う理由や、『どうしても ICUがいい人』へ伝えたいことについて投稿します
お勧めしない理由
理由:辞めていく新卒が多い
僕が新卒で ICUに入職した時、同期は5名いたのですが
1年目が終わる頃には残り3名、2年目が終わる頃には2人になってしまいました
『新卒が辞めていく』これは病棟と比べてかなり多く、そのために5名の新人を配属したと聞いた時にはゾクっとしました。職場は変わりましたが、そこでも『 ICUの新人離職率は高い』のが現状です。
同期が辞めた理由は大きく分けて3つ
まず『必要な知識量が多い』ことがあります
これは病棟で働く方が聞くと「ICUだけじゃないよ!」と思うかもしれませんが、実際には病棟からICUに配転した人たちも求められる知識量にくたびれてしまうくらいです
『 ICUには全科の重症患者が入室する』ことを考えてみれば当然でしょう
病棟の学習会などはありますが、それだけでは全く足りません。
次に『イメージと違った』という理由
これはリアリティショックという言葉がありますが、理想と現実の違いです。テレビドラマや映画で見るような ICU・ICU看護師に憧れが強いと現実にガッカリします
ガッカリする現実というのは「職場の現状」と「自分自身」の2点
「 ICUの職場がもっと魅力的だと思った」とか「私はもっと出来ると思っていた」などイメージの違いから辞めていく人は多くいます
そして『精神が持たない』
これは上記2つの理由と重複することもありますが、まさに「次の瞬間に何が起きるか分からない」ICUならではの特徴によるものが大きいところ
新人が業務に慣れてくると緊急の入院患者をとる(担当する)段階が訪れます、こうなると軽めの重症から超重症までどんな患者が来るか分からず緊張の連続
超急性期の現場では医師も看護師もピリついています、現場は怒号が飛び交い、失敗は容赦無く話し合いの議題にあげられます
患者の命がかかっているので当然ですが、かなり応える。。
僕も1週間のメンタル休暇をもらった経験があります。。
緊張して肩こりに悩んだり、、、
理由:後からでも遅く無い
ICUで働くのは新卒からいる人達ばかりではありません
むしろ、病棟に入職し数年働いたあと配置転換になり異動してきた人の方が多い印象です
中には『いつかICUで働きたいと希望していた』人もいて
僕はこれが正解だと思います!
看護師の1年目は ICUに限らず大変な時期です
それは看護以外にも『社会人ルール・電子カルテなどのシステムの理解・一人暮らし開始』などへの適応が必要だから
そんな時に大変と言われる部署を選んで看護師としてのスタートに失敗するリスクは不要
その点、病棟で数年を過ごした配転者たちは『適応ずみ』なので、ICUの業務に順応することに全力疾走できます
新卒看護師 | 移動してきた看護師 |
|
|
それでも配転者から『勉強多い』『分からない』と聞こえてくる現状を見ると
1年目から ICUにくるのは最悪の場合「看護師を辞めてしまう」リスクが大きく
一般的にお勧めできないのです
理想は元の病棟でリーダーを経験してからの異動
理由は『内容は多少違ってもICUでもリーダーまでの道のりは同じだから』
一度通った道なら踏ん張りがききます。
どんな人なら大丈夫?
見てきた中で、新卒でICUに入職して辞めずに働き続けている看護師の特徴を挙げます
大丈夫なのは『学習習慣』を持っている人
複数の診療科に渡る知識や医療機械について学習する必要があります、学習習慣を持っていないとまず追ていけません
先輩看護師たちも『患者の安全のため』に、あなたの勉強度合いを確認してくるでしょう
そんな難関をくぐり抜けて ICUに残る新卒者は勉強熱心な人ばかり
自分で本を購入したり、病棟の購入図書を読み学習する姿が見られます
僕自身の参考にさせてもらうために彼女達のノートを見せてもらう事があります。まとめのキレイさは関係なく『努力の量』には本当に刺激をもらいます。
ICUの新人看護師におすすめの参考書はこちらで紹介しています。
大丈夫なのは『メンタルの調整』が出来る人
何かあっても『次に向けてと開き直る』ぐらいのメンタルが必要です
なんせ、初めのうちは失敗ばかりでそれが当たり前!本当に大きな失敗でなければ
エジソンだって「失敗は成功の元」って言ってたし〜
(声には出せないけど・・・)
ぐらいの前向きさを持っている人が辞めずに残る印象です
つらくても自分を支えてくれる存在がいるか?も大きいようす
また、新人時代を乗り越えた後は『緊急時に慌てないメンタル』が大切になります
チームを統率するには冷静さが必要なので、自分のキモチと向き合う習慣は大事です
新卒1年目から ICUを希望するなら
ここまで、新卒で ICUを希望するのはお勧めしない理由を述べてきましたが、反対に言えばこれらの要因を対策すれば『離職せずに続けられる』とも思います。
これまでに挙げた
- 学習の継続
- へこたれないメンタル
を持って希望するなら『 ICUという特殊領域で得られる経験』は大きな財産になります。
職場環境については『直接その施設に聞いてみる』『知人がいれば聞いてみる』『就活サイトで情報をもらう』などを活用しましょう
確認すべきは
- 新卒看護師の指導体制(病院全体やICU単独)
- 近年の新卒離職率&原因
- 労務管理状況(休みの数、超勤務の程度)
などです
個人での情報収集は難しいかもしれませんが
同じ ICUでも施設によって環境は大きく違うので確認しておきたいところ😞
その他、ICU看護師でいることのリスク
ICU看護師が持っている『困り事』について情報を集めてみました
夜勤が多い
ICUでは患者:看護師比が2:1です。これは夜間も変わりません、そのため、看護師ひとり当たりの夜勤回数は病棟より断然多くなります
2交代で月に6〜8回は普通、所によっては夜勤のみで働く夜専ナースがいることもあるほど
生活リズムの乱れは病棟より大きく、ICUにきてアレルギー・肌荒れなどが酷くなったという同僚もいます
さらに、看護師が少ない施設では夜勤に人を取られるので業務が多い日勤の数が少なくなり日勤が地獄になります。
ICUに在籍する看護師の総数を調べることも大事です。
他部署のことが分からない
ICUや手術室は特殊な領域なため、病棟業務との違いが大きいです
新卒から長期間ICUに勤めていると病棟のこと『退院や転院の実際』『病棟で多い手続き』『記録・クリニカルパス』などにうとくなります、よく聞く ICU看護師のコンプレックスあるあるです
よく配転者の方に教えてもらいます。いつもありがとう。
ミニドクター化?
ミニドクターとは『医師のように知識を蓄える看護師』を揶揄した言葉です
実際 に ICUナースは他病棟の看護師からこう思われている感があります
個人的には勉強することが実際に役に立つので、ICUを知らない他病棟の声は気にしなくて大丈夫です
もし、ICU内でそのように言われたら「自分の行動が看護に繋がっていなかったのかも」と反省します。看護師ですから。
まとめ
今回は、看護学生からの質問でよくある「新卒でICUはあり?なし?」について投稿しました。
一般的に言われるようにICUは『特にストレスがかかる』部署であることは確かで、個人的には新卒ICUはお勧めしません
ただ、強い意思や高いストレスコーピングを持っている人なら大丈夫だと思います
希望される方はよく病院を選んだ上で頑張ってください。