こんにちは、看護師のなーさんです。
看護師は病院で「いちばん数が多い職種」です。
なので、変な仕事を押しつけられがち。
かのナイチンゲールが看護覚え書き(NOTE ON NURSING)で伝えたかったこと。それはサブタイトルに込められている
“WHAT IT IS,AND WHAT IT IS NOT”
『看護であること』と『看護でないこと』
看護覚え書き
これを分けるのが最初の仕事です。
今日はそんな話。
この仕事内容は『看護』なのか?
むかし、忙しい個人病院に勤めていたのですが、忙しさの内容が最悪でした。
- 詰め所の電話番
- 院内回覧板まわし
- カルテ書類の整理
- 業者さんへのお茶出し
- 平日昼間のベット作成
- 医師に届くFAXの仕分け
- 電カルが使えない医師のオーダー代行
その結果はですね
- 休憩が取れない
- 勤務中は常に歩き回っている
- 患者さんの話をゆっくり聞く暇もない
- 手足浴などのケアはサービス残業でやる
- 何かあればすぐにひっくり返る(病棟全体の機能不全)
といった感じ。
その頃の僕は「看護師は医療の奴隷だ」と思っていました。
当然ながら「看護をやっている」という感覚はありません。
生活に充実感もなし。スタッフはただ仕事の忙しさに無理やり満足しているようでした。
その原因は『人手不足』。これに尽きます。
大きな病院にしか勤めたことのない人には信じられないでしょうけど、こんな病院は実在します
- 看護師が最低人数しかいない
- 日勤者の数が夜勤の数よりも少ない
- 週休2日、明け翌日の日勤あり
- クラークさんや看護補助者さんがいない
- メッセンジャーさんもいない
- 医局に秘書がいない
まじでこんな感じ。意地でも人を雇わないので、今いる人員に負担がいきます。
この影響はかなり大きくて、その被害者は『看護師+患者』
なぜなら、『看護師がやりたい看護=患者の潜在的ニーズを満たすケア』は余裕がないと出来ないからです。
例えば、患者の予後不良を知らされた家族。看護師はその表情や言動を観察して介入するべきです。
しかし時間がない。否、人がいない。
残念ながら、更に優先順位の高い「緊急対応」「検査」などが同時に起きれば、そこに身を投じなければいけません。もちろん、看護師が足りていれば役割分担して介入を続けることができます(今の職場ではできている)。
もっと言うと
クラークさんがいないので”カルテの書類整理”は看護師の仕事。補助者さんがいないので”ベッド作成”も看護師が大急ぎでやる。
業務時間はそんな作業に追われ、やるべきことができない状態
なので当然”患者満足度”は上がらない。それは何も一部署の看護師や看護管理者の責任ではないのです。病院の姿勢の問題。
と、ここまでで『転職時に確認しておきたい情報』が分かります。
病院を選ぶときは『職種の数』を確認する
求人情報にはあまり載っていませんが、エージェントに聞けば調べてくれます。
前述したように、職種が少なくてしんどいのは『看護師+患者』。
「誰がやるの?」とグレーゾーンにある雑務は”都合よく”看護師に回されます。そして患者には細かな観察と介入が届きにくくなります。
これは僕がブラック病院を経験したから言えることですが「まず、職種に関係なく全ての業務量を知ることが大事」です。
そして「その業務がどう分けられているか?」を職種の数で考えましょう。
まじで用心してください。クラークがいない病院の「クラーク業務」は常に看護師の仕事ですよ。その他も同じ
今働いている病院で考えるのが早いと思います。想像してみてください。
もし今の病院がアウトだったら
もし、今の職場が『雑務だらけ』だったら?
僕の場合はそこから離れました。給与にもよりますが、何より”やりたい看護”ができない所に勤め続けるのは精神衛生上よくない。
そういう場所には
「業務に必須じゃない”やりたい看護”は『サビ残』でやれば良い。」と言う人もいます。
そういう人は一般スタッフなのに、なぜか経営側に回ってるんですね。
さらに常套句は「一人がやると皆が迷惑する」です。
なら「それが普通の所に行きます。」ということです。
疲れ、充足感の違い、精神に与える影響は大きい。
数年前に大学病院へと移動しました。
今は”必要な看護を考え実施する時間”があります。こうなると、業務中は一生懸命なのは変わらず、サボっている訳ではありませんが、疲れが違います。
自分のことを「医療の奴隷」だと考えていた頃と比べ、看護師としての自信もつき、日々が楽しくなりました。
職場環境が精神面に与える影響は大きいと痛感しています。