春にはベテランさんが異動になるし
看護力の低下は避けられない・・・?
この問題は毎年、人事異動が盛んな春に看護管理者を悩ませます
ファースト受講生には師長・主任も多く
「毎年訪れるこの悩みとどう向き合うか?」を話し合うこともありました。
ただ、人事異動は本人の希望や上層部の判断でもあり、どうしようもありません
行き着いた答えは『ベテランの知識が伝承する看護管理をする』でした。
ということで、今回は知識の伝承について大串先生の著書「ナレッジマネジメント 創造的な看護管理のための12章」から、知識管理の入り口を学びます
本投稿をみて「レポート作りに使えそう!」と思ったら書籍を参考にしてください
組織の発展には『知識の伝承』が不可欠!
看護師の組織は人の入れ替わりが激しいのが特徴です
ただ、組織が発展するためには入れ替わる人材の中で知識を伝承しなければなりません
ベテラン看護師が経験の中で獲得・開発した知識も、正しく伝承されなければ途絶えてしまい組織の発展はなく、人事によって浮き沈みのある組織となります
仮に、あなたの部署にいるベテラン看護師が他部署に移動になったとします
その時にベテラン看護師の持っていた知識が正しく伝承されていれば、あなたの部署の看護の質は保たれるでしょう
しかし、ベテラン看護師の存在に頼りきって知識が他者に伝承されていなければ、看護の質は低下してしまいます
知識は蓄積させてこそ組織は発展します
この知識の伝承には以下のプロセスが必要です
- 知識の種類を知ること
- 知識の種類に応じた伝承方法を確立すること
お気付きと思いますが、このプロセスにこそ看護管理の課題があります
組織を弱体化させない知識管理を学びます
知識のカタチ【暗黙知】と【形式知】とは?
まず、知識が普段どのようなカタチをとっているか?を学びます
身の回りの知識を見渡してみましょう
点滴作成の方法・記録の方法・機械の使い方・リーダーシップなどなどありますね
ポイントは「あれは暗黙知だ!」と思っていても実は言表・図式化されていないだけの形式知が多いことです。適した伝承方法をとるためにはその知識がどちらに属しているのか?を考える必要があります。
形式知へのアプローチ
形式知は、文字や図表などで表現される言表可能な知識の事です
知識の伝承には、その知識の種類によって正しい伝承方法を選ぶ必要があります
そこで、まず問題なのは「形式化されていない形式知が多いこと」です
これが解決されるだけでも、新しく配属された看護師が情報に迷う事が少なくなるでしょう
例えば
旅行のパンフレットなどは、現地の人の知から作った形式知です
形式化されていないと旅行者はどうしていいか分かりません
なのでまず「言表可能なものは形式化する」ことが必要となります
形式化されていれば活用できるね!
という訳でもありません、知識が取り出しにくく埋もれている場合もあるからです
なので、現場の看護管理者は『知識の形式化』に加えて『形式知へのアクセスを簡易化』することまで考えないといけません。
実はマニュアルに書いてあった、ということも多いですね。
暗黙知へのアプローチ
暗黙知は、個人の経験によって蓄積された身体的・経験的な言表不可能な知識です
暗黙知を伝承するためのプロセスは↓こうなります
- 実践の場をつくる
- 対話の場をつくる
「場」をつくるっていうのが大切なのね?
そうです、大串先生がいう「場」とは
さまざまな思いをもった人たちによって共有された時空間を「場」と呼びます。「場」で繰り広げられる対話や実践の中身はさまざまです。看護の現場では、たとえば目の前の患者のアセスメント に始まり,過去の経験や知識を総動員しながら,より良いケアの方法を探し出そうとするはずです。
「大串正樹 ナレッジマネジメント 創造的な看護管理のための12章」 より引用
暗黙知は実践により手に入れるものなので、まず実践の場が必要です
若手の看護師の経験に「まだ早い」とか言ってストップをかけるのではなく、見守りながらの実践が成長を促すこともあると認識しましょう
そして、経験を学びに変えるためには上達者との対話による振り返りが有効となります
経験学習でも振り返り(リフレクション)が大切って言われてたね!
言葉は違ども同じ「人間の成長」について書かれているので
共通点は多いですね
場の設定はまさに管理者の手腕の見せ所です
- 指導者と学習者の勤務を調整する
- 指導者に「場」を設置する意図を説明する
これが出来る権限は管理者にしかありません
優れた「場」の設定は看護管理者の仕事です
まとめ
- 形式知はマニュアル化をすすめ、情報を整備する
- 暗黙知を学ぶ良質な場をセッティングする
今回は、僕がファーストレベルで学んだ看護管理者が行うべき「ナレッジマネジメント」を大まかに振り返りました
もし皆さんの部署が「毎年人事異動で弱体化してしまう」と悩んでいるのであれば、知識の伝承が上手くいっていない可能性があります
「誰々は凄かった」「今の人たちは、、」などと人材の質を嘆いてもどうしようもないので
ナレッジマネジメントで組織自体の質を向上することを考えてみてはいかがでしょうか?
大串先生の著書はレポートに引用するにあたって抽象度がちょうど良いです
「看護の」と銘打っているだけあり私たちにも分かりやすい表現でありがたい