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【新型コロナ】防護服の悪影響と予防策

感染対策費用

防護服は体力を奪う。

考えてみれば当然で、あの戦闘服は体の調節機能をことごとく駄目にしている。

平常時の思考力や忍耐力が凄いスピードで削り取られる様子と『やっときゃ良かった対策』が伝わればいいなと思う。

新型コロナの受け入れ病棟です

と言う方はぜひ

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防護服が駄目にする体の調節機能

 

  • 水分の調節
  • 体温の調節
  • 精神の調節

 

今は物品が不足しているので防護具も貴重。トイレに行かなくて良いように飲水を控えたけど、完全に誤算。滴る汗に水分を奪われ、トイレに行きたくなるどころか喉の渇きにやられた。

通気性の悪い防護服を着ていると、普段どれだけ汗をかいているかが分かる。

発汗の目的は気化熱で体温を調節すること。しかし、防護服の中では上手く汗が蒸発しない。脱水傾向と相まって熱がこもり、頭はボーッと冴えなくなる。

人によっては精神も乱される。

閉所恐怖症の人は防護服内の世界に耐えられないので、そもそも着れないか、早めにリタイアすることになる。

閉所が大丈夫でも暑さ動きにくさがダメなひともいて、無力感に落ち込んでいた。

長時間 脱げない訳

物品にも限りがある。

防護服は一度外すとゴミ箱行きなので、着たら直ぐには外せない。

当院ではマスクはすでに在庫がなく、covid-19 患者以外の対応ではサージカルマスク(普通のマスク)が3回の勤務に1枚の使用となっている。

マスク不足になる前は、一度外したら交換でひと勤務で2枚は使っていた。なので、今はこれまでの価値観がぶっ壊れている状態。『感染予防の基本』ってなんだっけ?の状態。

マスクのように、他の個人防護具もいつ品切れになるか分からない。倉庫にある在庫を長く保たせるためには一回の使用時間を伸ばす必要がある。最低とらないといけない休憩時間以外は、防護服を着て部屋から出られない。

その時は急にやってくる

僕の勤務先は感染症指定機関ではない。だけど、地域の基幹病院として新型コロナの重症患者を受け入れる準備はしていた。

『コロナ対策部屋』に物品を集めて、感染委員がマニュアルを整備し準備は万全。

で、コロナの患者は急にやってきた。実際は受け入れだけで精一杯。

防護服を着て作業をする事への想像力が足りず、数日間でスタッフは体と精神をかなり消耗した。入電から急に別世界が始まる。

この記事を見ている同じような境遇の方々が参考にしてくれると嬉しい。

やっておくべきだったこと

冷房を効かせる

うちの ICUの室温設定は26℃前後。かなり暖かめだが、重たい布団などを重症患者の上にかけるのは良くない(緊急時に邪魔)と言う考えがあり、薄着の患者に合わせて調節されている。

普通に考えれば分かることだけど盲点だった。防護服を着ると凄く暑い。メガネはくもりまくった。

しかも空調は中央(別部署)でのみ制御できるような作りなので夜間は耐えるしかなかった。

何か処置をすれば防護服の中は汗だく。メガネはもくもく。翌日には急いで空調設定を変えてもらった。

褥瘡予防:耳当て、鼻あてをする

マスクやゴーグルを長時間つけていると耳や鼻などの接触部分が痛くなる。これは普段から感じていることだけど、急いで準備したのでやり損ね『すごく』後悔した。

特にN95マスクは密着させるためにゴムがキツい。耳に当たるゴムに、包帯をひと巻きして柔らかくしていれば良かった。

同じく、鼻頭にも圧が集中する(鼻が高い自慢ではない)。ここにビジタームやエスアイエイドなどの緩衝材を、NPPVの褥瘡対策のように使用していればと思った。

このどれも普段は患者に対してやっていること。

急いででも出来る様に、物品を1箇所に準備した。

蒸れにくい手袋を選ぶ

体の汗はなんだかんだ服に吸われる。最も蒸れるのは「手袋の中」。

6時間ぶりに見た素手は長風呂の後みたいだった。

医療用の手袋と一口に言っても素材によって違いがある。

ポリエチレン製は最悪。もともと安く短時間の作業むけなので長時間になると蒸れまくる。

一番いいのは手術用の手袋。さすがに蒸れにくい。二重に着けるようになっているので、ニトリルと手術用手袋にしたらかなりマシだった。

気にしていなかったけど手袋は良質なものを使うべき。

医材屋さん(納品業)から期限切れ近い手術用手袋を貰って大量の確保に成功した🧤

音楽の準備

ICU内は 機械音ばかり。

いつもラジカセで音楽をかけているけど、部屋の中に持っていくのを忘れた。そんで、拷問のような無音+機械音の地獄。

研ぎ澄ませばECMOのチャタリングが聞こえそうなレベル(それはそれでいいけど)だった。

途中からは電子カルテのwindowsサンプルミュージックにすがったけど、やっぱりジブリオルゴールで落ち着きたいと思った。

情報のやりとり方法

部屋の内と外とで情報量が違い戸惑った。

緊急のバタバタが過ぎれば医師たちは部屋から外に出る。なので、室内には患者と2人。部屋の外で行われる医師やスタッフの話し合い、その内容が分からない。

話し合いの結果、指示は電子カルテでこちらに伝わる。しかしそのプロセスが見えない。これは危険な事なので意図を尋ねたいが、その手段がない。

結局、翌日にはマイクとスピーカーが到着。外の音声を部屋の中でも聞けるようにしてもらった。

トランシーバーでも何でもいい。ドアを開けずにできる意思疎通の手段は考えておくべき。

終わり

以上、防護服を着て辛かった事とその対策でした。

これから患者さんも増え、感染症指定機関でなくても防護服で対応することも増えるでしょう。その時の準備に役立てば幸いです😄

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