ICU看護師の役割や適性-優秀じゃなくても働けます

ICU看護師は優秀?看護師💉新人ナース

ICU看護師ってどんな感じ?

クリティカルケア看護に興味があるけど、優秀な人じゃないと務まらないんでしょ?

ICUという医療領域はドラマなどでもよく取り上げられていて、そこで働く看護師のテキパキとした姿に「カッコイイ」「優秀そう」とイメージされている方も多いようです。

ICU看護師 優秀
ICU看護師の関連ワードにも出てきます。

そう言ったイメージがクリティカルケア看護への敷居を高くしている現状ですが、実際にはどうなんでしょう?

僕は10年で3つのICUを経験しています。その中で感じるのは「ICU看護師にとって必要な事は『優秀さ』ではない。」ということです。

今回はこんな内容です
  • ICU看護師の役割・適性
  • 優秀じゃないと務まらないって本当?
  • ICU看護師であるメリット・デメリット
  • ICUを希望しようか悩んでいるなら

ICUに異動になる方へ

ICU看護師の役割

大まかなICU看護師の役割は以下の3つです
  • 患者の全身管理
  • 異常の早期発見と対応
  • 回復過程の援助

順に説明します。

自由がきかない患者に代わって『全身管理』を行う

ICUに入室している患者は重症者ばかり。大半の患者は床上安静や人工呼吸器管理、鎮静剤で満足に体を動かすことができません。そのため、看護師が以下の全身管理を行う必要があります

  • 体位変換
  • 呼吸循環管理
  • 保清(清拭・陰部洗浄・マウスケア・手足浴・洗髪)
  • 薬剤管理(シリンジポンプ・輸液ポンプ・内服・外用薬)
  • チューブ・ドレーン管理

などなど、これらのケアを患者の状態を判断しながら実施します。

なーさん
なーさん

多くのラインやドレーンが入っている患者のケアは1人では危険。なので複数人での介助が基本となります。

何が起こっている?異常の早期発見と対応

2つ目の『異常の早期発見』はICU看護師がもっとも注力するポイントです。ICUでは多くのモニター機器があり、そこから得られる数値と自分の五感で得た情報を結びつけながらアセスメントする必要があります。

例えば、「30分前よりも心拍数が10回/分あがった」ときには、(病態によって)発熱や出血(血液量不足)などの可能性を考えながら次に自分がとるべき最適な対応を探します。

緊急時の対応では薬剤や医療機器を使う事が多く、日頃からの備えが重要です。

『回復期の援助』が新たな課題に

ICUのイメージとして「患者は薬で寝たきり」だと思われているかもしれません。しかし、それは少し前までの話です。

現在では、状態が許せば積極的にリハビリを行い、筋萎縮予防や生活動作の再獲得が新たな課題となっています。

そのため、看護師には集中治療下でリハビリに励む患者を支える技術が求められており、具体的には患者の体と精神の調整が大切です。

ICU看護師は、患者が覚醒しても苦痛を感じないように、疼痛管理や声かけ、昼夜のリズム調整を行います。

ICU看護師の適性

ICU看護師の適性について、一般的な見解と私見を述べさせていただきます。

一般的には

ICU看護師は以下の特徴で語られることがあります。

  • 優秀な人
  • 性格はきつめ
  • 状況判断能力に優れている

確かに、優秀でテキパキと仕事をこなし、いざという時の状況判断に強い看護師は理想的です。

しかし、それはどの領域にも言えることですし、そう都合よくICUにばかり優秀な人材を配置できません。

実際には ICU看護師は『優秀』じゃなくても務まります

実際に僕自身が全くもってポンコツ、自分でも嫌になるくらいです。しかし、10年間この領域で看護師を続けています。

では、『優秀さ』以外に大事なものは、と言うとそれは2つ

  1. 日々の学習や準備、それを継続すること
  2. 違和感の原因を突き詰める姿勢      です。

ICUは複数の診療科に関わるので、勉強の効果が業務に反映されるのも時間がかかります。しかし、準備すれば確実に役に立つ場面が訪れるのもICUの面白いところ。優秀さよりも日々の努力が求められる世界です。

また、自分が感じた違和感の原因を解明する姿勢がとても大切です

というのも、女性は特に観察力に優れていて、少し前の患者と今の患者の細かい違い(表情・呼吸の動きなど)にも敏感に反応することがあります。その感覚を逃さずに調べる(もしくは報告する)と急変の予防になります。

地道で面倒ですが、一つ一つを考える姿勢がファインプレーに繋がります。

なーさん
なーさん

ドラマなどでは派手な場面ばかりクローズアップされますが、実際にやることは『地味の積み重ね』です。

ICUで働くなら、マニュアルがしっかりとしている所を選ぶ

ICU看護師に適性を求める職場は要注意。

なぜならそれは適性に頼った人材管理を行っていると言うことだからです。ICUで働くならば、しっかりとマニュアルが整備された所を選びましょう。

職場が変わって一番辛いのは最初の数ヶ月。その時に最も頼りになるのがマニュアルです。しっかりと整備されていれば、読み込むだけでも業務の段取りを覚える事ができます。

また、ひとつ一つの行動も文章化されているので迷いが少なくなります。

マニュアルが出来ている所は?

基本的に、歴史があると組織が成熟しマニュアルも発達します。なので

  • 大学病院
  • 組織体系の整った病院 が狙い目。

同じ病院なら知人を伝ってICUのマニュアルの程度を探ります

転職なら『見学』のときに必ず見せてもらいましょう

なーさん
なーさん

マニュアルが整っていない所では新しい事がある度に『教えてもらう』必要があり、お互いにとってストレスです。

そんな所は指導する文化が育っていないことも多く、避けるのが無難です。

ICU看護師であるメリット・デメリット

ICUは特殊な領域なので一般病棟とは違ったメリットやデメリットがあります。

ICUのメリット:休みが多く、残業は少ない

ICUでは患者に対して看護師が多く配置されています。それは『一刻をあらそう緊急事態に十分な集中治療を実践するため』ですが、実のところ忙しさには波があります。そのため、何もない時の勤務は時間どおりに終わることも多く、他病棟に比べると残業はかなり少ないのがICUの特徴です。

同様に、患者が少ないときは有給消化を進めることもできるので、年間の取得率では常にICUや同じく波のあるNICUが有利となります。

なーさん
なーさん

この特徴からICU勤務歴のある人にとっては育児時間勤務でも人気です。これから結婚や出産の計画がある人はICUに就職しておくのが良策かもしれません

ICUのメリット:呼吸循環のケア技術はどこでもつぶしが効く

呼吸循環ケアの知識や技術はどの領域でも役に立つものです。病院内に限らず、むしろ訪問や施設でこそフィジカルアセスメントが重要視されます。

ICUはじっくりと患者を観察できる部署です。ここで観察・介入の技術を身に付ければ、将来にわたって役に立ちます。

大切なのはルーチンワークに終始しないこと

しかしながら、「ICUにいたのに何も出来ない」と言うのもよく聞きます。大事なのはICUのルーチンワークだけでなく、その根拠や一般的な知識を学んでおくことです。

原理原則を押さえればどこでも働けます。

なーさん
なーさん

同僚に『ICUだけで6回転職している人』がいます。彼にはすでに知識が備わっているので、転職後はその場のやり方を覚えるだけ。「あまり苦じゃない」とのことでした。

ICUのデメリット:夜勤が多い

看護師の配置については、患者の重症度に応じた看護が行える体制とすること。業務を安全に遂行する上で必要とされる人員を、配置すること。具体的には、患者の重症度等に応じて患者2人に対して看護師1人以上常時配置すること。

集中治療室(ICU)における安全管理について 厚生労働省

このように、ICUでは2:1看護が定められています。この体制を24時間維持するために看護師の夜勤は病棟よりも多くなりがちです。

例えば、10床のICUでは最低でも5名の看護師が常に勤務するように勤務が組まれます。その結果(看護スタッフ数にもよりますが)月の夜勤回数が7〜9回(2交代で)となることもざら、場所によっては夜勤専従者を作っていることもあります。

夜勤が増えると生活リズムを整えるのが難しくなるため、健康や精神面に不安のある方は慎重になるべきだと言えます。

ICUのデメリット:勘違い年下ナースには要注意、大人の対応を

ICUで育った看護師によくあるのが『病棟とICUの違いを知らないまま年数を重ねること』です。ICUという観察やケアに最適化された部署にいるため、たったの数年で「自分は優秀だ」という態度をとる事がよくあります。

なーさん
なーさん

移動者にとって辛いのは、先に居た年下の看護師からとやかく言われることでしょう。実際には『指導とは関係のない知識でマウンティングをとったり、敬語を使わない』ということがあります。

そんな人への対応は『信頼できる人を見つけて相談する』です。人間関係を観察して信頼がおける人を探しましょう。もしくはその職場の自浄作用に期待します。自分が戦っても良いことはありません。

ICUが気になる人は臆せずに希望してみてほしい

メリットやデメリットを述べてきました。個人的には「興味がある人はいちど勤務した方が良い」と考えています。もちろん、ICUという環境が合わない事もあるでしょう。

しかし、興味がある人に勧める理由は他にもあります。

ICUを勧める理由
  • キャリア形成に選択肢を与える
  • 学習環境はかなり整っている
  • 体力は必要、若いころに行くべき

キャリア形成を見据えて

ICUでは複数の診療科の患者を看ることになります。その中で「自分が興味のある分野」を見つけて次のステージへ進む人も多く、働きながら将来のキャリアプランを決めるモラトリアム期間としても良い選択肢だと言えます。

ICUで学ぶことができる主な資格

急性重症患者看護専門     感染症看護専門      
救急・集中ケア認定          呼吸療法認定士      
BLS/ACLS/PALSなどの救命処置   心電図検定     
心リハ指導士 などなど     

特に、呼吸療法や心電図に関しては、普段の勤務中に調べるているだけでも問題集を割と解けるようになります。

専門・認定看護師については日本看護協会HP

なーさん
なーさん

ICU出身者が各分野のスペシャリストとして活躍しています。

クリティカルケア領域は参考書に恵まれている

現状、クリティカルケアの参考書は潤沢に揃っています(ちょっと出し過ぎと思うぐらいに)。

雑誌だけでも『呼吸・循環・脳実践ケア』や『重症集中ケア』などがあり、このバックナンバーを一年分読むだけで大部分の勉強がカバーできるほどです。昔よりも専門や認定看護師が書いた分かりやすい記事も多くなり、勉強する環境が整っている領域だと言えます。

集中治療領域でおすすめ・定番の本はこちらで紹介しています。ICUに行くとこれらを含む病棟内図書があるはず。

「若いころに行くべき」は本当です

以前に投稿しましたが、「新人からICUは負担が大きい」との考えもあります。しかし、負担にめげずコツコツと勉強を続けられる人は若いうちにICUを経験すべきです。理由は、『いずれ配置転換で回されるかもしれない』のと『若い頃は体力があるから』。

まずは、大きな病院であれば配置転換でICUに配属されることもあり、それなら先に回っておく方が良い、という考えです。

そして、夜勤が多いICUは年を取るとキツい(実感しています)。

『若いころにICUを経験した人が主任になって戻ってくる』こともありますが

いちどICUに来ててよかった。

とよく言われています。

ICUに限らず特殊な領域(手術など)は若いうちに経験しておくのがお勧めです。

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