
ICUの本はいっぱいあるけど、どれが良いのか分かりません
まずは実績のある著者で買いましょう。

ICU界隈で有名な著者とその書籍を紹介します。
※目次や内容の詳細はリンク先で確認できます。
集中治療看護の卯野木 健先生

画像引用:メディカセミナー
略歴:聖路加国際病院(副看護師長)-聖路加国際大学(教員)-筑波大学附属病院(師長)を経て2018年からは札幌市立大学で教授職につかれています(詳細は札幌市立大学HPへ)
集中治療の学会では、先生が登壇するシンポジウムに長蛇の列ができます😲
女性人気がすごく、できれば僕もサインが欲しいぐらい。
著書は専門的でありながら分かりやすい。
『クリティカルケア看護入門』でICUの「看護」を学ぶ
ICUに来て看護を見失わないように、まずはこの本をお勧めします
この本は「呼吸・循環・神経の生理学」をやさしい表現で解説してくれます。初めての方にもICU看護の全体像が把握できるでしょう。
語り口調で読みやすく、1〜2時間で読めました。
そして、最も魅力的なのがクリティカルケア看護への情熱が伝わってくる点。
ときどき『ICUには看護がない』と考える人がいます。しかし、この本を読めば考えは変わるでしょう。
ICUでの看護の始まりは、本のサブタイトル『声にならない訴えを理解する』こと。その意味が分かります。
『ICUナースポケットブック』 とっさの確認に
新人・配転者の所持率は8割以上。
何か調べたり確認したいときにスッと出して見れるのが便利でお守りにもなります。
正直、今までいろんなポケットブックがありました。人によって持ってる本もバラバラです。ところが、2015年にこの本が発売されて以来「これが定番」に。。
とにかく情報量が多く、完成度が高いです。その施設なりのマニュアルを書き込むために余白をとってあるのも good です(知識+How to が最強ノート)。
数値や図解が分かりやすく、卯野木先生を始め編集者の力量を感じます。
道又 元裕先生
道又先生は杏林大学医学部付属病院看護部長を経て現在は国際医療福祉大学成田病院で看護部長を勤められています
先生の肩書はなんといっても『日本看護協会看護研修学校重症集中ケア学科専任教員』
つまり、集中ケア認定看護師のボス。あなたの施設の認定ナースも道又先生のカリキュラムで育っています。
『ICU3年目ナースのノート』 体系的な学習のめじるしに
3年目看護師が作ったノートをコンセプトに、分かりやすい図解がたくさん!
職場にあるこの本は人気すぎてボロボロに、最近2冊目を購入しました。
職場にもあっても1冊は自分用で持っていた方がいいと思います。理由は体系的学習の道しるべになるから。
ICUでは様々な病態を日替わりで担当することになります。その日にあったことを調べるのも大切ですが、それでは知識の穴が出来てしまいます。
例えば「あれは知ってるけど、近い知識であるはずのこれは知らない」など
そうならないためには、スケジュールを立てて体系的に学習を進める必要があり、この本はICUで必要な知識が広く収録されているため、勉強の道しるべにお勧めです
フィジカルアセスメントの山内 豊明先生
ICU看護師の武器はフィジカルアセスメント、フィジカルアセスメントと言えば山内先生です
先生は放送大学で教養学部の教授職につかれています
基礎看護技術や教育学について研究されており特にフィジカルアセスメント についての書籍を多く書かれて、どれも切り口を変えていて分かりやすいです
『フィジカルアセスメント ガイドブック』 患者の異変に気付けるように
カラーの図解が見やすい、章ごとに内容が整理されています、先生の著書の中でもお勧めの本です
ICU看護師の役割に「異常の早期発見と対応」がありますが、フィジカルアセスメントは患者の異変に気づくための看護師の武器です、僕もいまだによく開いて確認する本
『呼吸音聴診ガイドブック』 呼吸アセスメントの出発点
聴診技術を磨きたいなら、まずは聴くことが大事!呼吸循環アセスメントにおいて聴診のスキルは出発点と言えます。正しく聴き取れないと始まりません。
付録の音源で実際の呼吸音・複雑音を聞くことが出来ます、図解と一緒に見れば一気に理解が進みますよ
レビューコメントにもありましたが早く臨床で聴診したくなります
卯野木先生と道又先生は雑誌の監修もしてます
ICNR -Intensive Care Nursing Review
こちらは卯野木先生の『ICNR』、海外の最新論文などからICU看護のあり方を模索するような、ちょっと上達者向けの内容です。。研究熱心な人がよく読んでいます
重症集中ケア
道又先生が監修する『重症集中ケア』は隔月発行で会員制・年間購読となります。
認定看護師や専門看護師が書いた『質の高い教育的な記事』が掲載されているため、多くのICUが年間購読しています。
ICU移動後に本棚を確認してみてください。
ここからは目的別にお勧めします
心電図の参考書
まずはサラッと読むのがおすすめ『心電図を見るとドキドキする人のための モニター心電図レッスン』
イラスト多め、今まで読んだ本で一番わかりやすい参考書です。
心電図が全くわからない!という人がまず読むべき本です。
読みつがれる名著『心電図の読み方パーフェクトマニュアル』
「心電図をより深く勉強したい人」におすすめです。各不整脈に対して症例や解説が充実しているのでかなりの厚みがあります。
ICUナースの登竜門:心臓血管外科の参考書
業務になれた配転者にとって恐怖の声かけ「来月から心外ね、勉強しておいて」です。
心臓血管外科の術後は、呼吸循環はもちろん、術後全身管理の総合的な知識が必要とされます。担当する前にはしっかりと勉強しておきたいところです。
重症集中ケアシリーズの心外本
同じ大動脈弁置換術でも基礎疾患によって術後管理は全く異なります。こちらは基礎疾患ごとの注意点など、細かく記載されているので大変おすすめです。
術後にECMOが入ってくるかも
「V-A」と「V-V」の違いは分かりますか?
視覚的に分かる!『かんテキ』


「”見えるシリーズ”よりも分かりやすい」と、評判な『かんテキ』シリーズ。
知識の穴を予防するには同じことを多角的に見る必要があります。『◯◯が見える』は、ICUなら全種類そろえている病棟もあるでしょう。
『見える』は病棟で確認し、家に帰って『かんテキ』で復習すれば”知識の穴”を予防できます。
ICUでは「循環器」と「脳神経」は必携。
『ICU実践ハンドブック』で医師の思考を知る
この本はICU実習に回る研修医の先生たちは大体持ってます(ipad&電子版で)
「病態ごとの治療・管理の進め方」と書かれている通りに、治療の選び方やその根拠とその実際について完結にまとめられているので、「なぜあの対応だったのか?」などの看護師の疑問が解決されることが多く、医師の本ですがお勧めとしました
一番大事かも…?『心の強化書』
部署が変わるのはそれだけで大きなストレスですよね。
ましてICUは特殊な場所。はじめは皆思うように動けません。どんな人でも気持ちが落ち込んでしまうのが現実です。
いろんなストレスからいかに自己防衛するか?それが大事です。
この本は2019年の年末に発売されました。僕はそのとき仕事が忙しく精神が不安定だったので、本屋で見た「結局、元からメンタルが強い人なんていない」のキャッチフレーズに強く共感し即買いしました。
この本では行動ベースで説明されています。読んでいると心が軽くなりました。
ストレスがかかる異動者には、癒し系の本を持っておくのをお勧めしています。
おわりに
今回はICU看護師の僕がみた多くの参考書から「これからICUで働く人向けの本」を紹介しました。
特にICUに移動する前の心構えとしてお勧めしたいのは『クリティカルケア看護入門』と『心の強化書』。
本当は心電図や人工呼吸器のお勧め書籍も紹介したいのですが、数冊ある中でハッキリと絞りきれなかったので今後追加予定とします。
今回紹介した本は「迷いなくお勧めできる」という点で間違い無いありません。
ご紹介させていただいた著者の方々も、ICUで働き始めると必ず名前を聞くことになります。先回りしちゃいましょう!