ここで言うストレッチとは、問題意識を持って高い目標や新たな課題に取り組む姿勢のことです。
職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門 松尾睦著
ストレッチ(課題に取り組む姿勢)は社会人に常に求められる要素です
なぜなら、社会は常に変化し組織には課題が溢れているからです
新人看護師がストレッチを獲得するために必要な指導者の関わりとは何でしょうか?
今回は新人指導において、ストレッチを引き出すための関わりを学びます
懸命に手を伸ばせば届く目標を立てる
目標のストレッチに必要なものは「適度に難しい目標をたてる」ことです。
では、適度な難しさとはどの程度でしょうか?
それは「努力で到達可能な目標」です。
入職したての新人にとって「部署の中でトップレベルの仕事ができる」という目標は、長期的で難易度が高すぎるためモチベーションの維持が困難です。
本人の位置から見える範囲で、努力で到達できる姿を目標とする必要があります。
目標を設定するのは指導者
新人は部署の業務全般を見渡す事はできません。
なので、指導者が適切な距離の目標を設定する必要があります。
この時に気を付ける事は「目標を達成するための努力=新人の努力+指導者の努力」であるという事です。
指導者の努力とは・・・
- 新人の努力の方向性を見守って必要時修正を加えること
- 指導者から声をかけて、状況を把握すること
- 周囲へのサポートの呼びかけ
などがあります。
新人看護師本人は自分の努力しか計算に入らないため困難に感じます。
そのぶん指導者の後押しを受けながら目標を達成することが出来ると、今後にとって大切な成功体験となります。
進歩状況を確認する
目標にむけて取り組み始めたあとは、本人との定期的なミーティングで進歩状況を確認します。
他者からの情報では「できていないこと」にフォーカスが当たりがちですが、新人本人と話すことで「できたこと・できなかったこと」それぞれの要因を考えることができます。
交換ノートでは書けない思いを持っていることも多いので、直接話し気持ちを受け止める態度で接することが大切です。
また、信頼関係構築のためにはアドバイスは話の途中ではなく、話をいったん「聞き切った」後に行うと効果的です。話を遮ることは否定を印象付けるためNGです。
自分の話を聞いてくれる先輩の存在がいることを態度で示します。
ミーティングは形にこだわらずこまめに
指導者の細かな声かけは新人に安心感を与えます。
そして「どうしてそう思う?」などの声かけはリフレクションへの入口となり、経験学習が進むきっかけとなります。
顔を合わせる機会を無駄にせず指導者から声をかけることが、現代の新人にあった関係構築と指導へのステップと言えます。
話さないことはすれ違いの始まり
指導者と新人は文字通り「指導する側とされる側」の関係になりがちです。
しかし、現代の新人看護師たちが受けた教育では上下の関係は希薄で「共に行う」という意識が強く根付いています。
彼ら彼女らを指導する時に、その時代背景を見落としていると関係がギクシャクし修復不能な状態に陥ってしまいます。そうなると指導どころではありません。
指導者が共に歩む意思を示すことが「伝えるべき事は伝える」関係構築に必要な第一歩と言えます。