
何だか仕事がうまくいかない。
もともとコミュニケーションが苦手だし、看護師に向いていないのかも。

こんにちは、なーさんです。『他人に物事を伝える』のは難しく、皆の悩み。
ただ、コミュニケーション技術は才能ではありません。『習得可能な技術』です。決まった型を使い分ければ今日にでも習得できます。
医療現場における看護師はまさに情報の交差点、伝える技術は必須です。
しかし、伝え方に悩む人は多く、本人が気付かないだけで伝え方で損をしている人もたくさんいます。
実は、伝え方には明確な正解があります。自分で悩むより、まず正解を知りましょう。
今回は実績のある『伝え方』を、看護職でよくある以下の場面
- 医師への報告
- 伝達事項
- 患者や家族との信頼構築
に分けて紹介します。
ぜひとも、役立ててください💪

医師への緊急報告には I-SBAR

I−SBARとは、緊急時に必要な要件を伝えるための『伝える型』です。
I:Identify(報告者、対象者の同定)
S;Situation(状況、状態)
B;Background(背景、経過)
A;Assessment(評価)
R;Recommendation(依頼、要請)
緊急時は伝え方がその後を左右する大事な場面。的確な報告のために活用しましょう。
I-SBARの例文

挿管患者の酸素化の悪化を例に展開します(ICU医師への報告場面)
I:Identify(報告者、対象者の同定)
「看護師の田中です、3ベッドの呼吸器科 鈴木さんの報告です」
S;Situation(状況、状態)
「酸素化が悪化しています。聴診で右の肺野音が弱くなっています。」
B;Background(背景、経過)
「日中から詰まりそうな粘稠な痰が多く、加湿や体位ドレナージを行っていました。しかし、5分ほど前からspo2が低下し、吸引では改善しません。」
A;Assessment(評価)
「吸引カテーテルが届かない部位で痰が貯留していると思います。」
R;Recommendation(依頼、要請)
「気管支鏡による去痰が必要と思われるので診察をお願いします。」
すごく少ない言葉ですが、様子とやって欲しいことは伝わります。
これが 『 I-SBAR 』です。
連絡事項にはPREP法

PREP法とは、文章で伝達するときの効果的な型。
病棟のスタッフ間での伝達ノートを書くときに最適です。
- P=Point(結論)
- R=Reason(理由)
- E=Example(事例、具体例)
- P=Point(結論を繰り返す)
【最初に結論を書き、次にその理由と具体例を書き、最後に結論を繰り返す】
PREP法の例文

病棟内でのスタッフの私語について注意する場面を例に展開します。
P=Point(結論)
勤務中の私語は慎しみましょう。
R=Reason(理由)
業務に関係のない私語は、患者や家族にとって不快なためです。病棟は療養環境であり、療養環境にとって他人の私語は必要ありません。
E=Example(事例、具体例)
というのも、先日◯号室のご家族から「看護師の私語が気になる」という意見がありました。内容を確認しましたが、とても私的なことでした。そのことで、患者や家族が不快な思いをしています。
P=Point(結論を繰り返す)
今後は、ベッドサイドでの業務に関係ない私語は慎むようにお願いします。
PREP法は『人を説得する話し方』としても有名で、セールストークやチラシではよく見かける構造です。
相手に行動を求める場合は、具体例を交えてイメージできる伝え方をする必要があります。PREP法を活用しましょう。
患者やご家族と信頼構築する伝え方

信頼構築に必要なのは『問いかけでニーズを聞き出し、できる約束をまもること』
- 表出を促す『HOWの問いかけ』
- その答えに傾聴し共感を示す
- サポートできることを伝える(約束)
- サポートの実行と次への声かけ
これが、信頼構築のパターンです。
看護の仕事は『相手のニーズを満たすことの繰り返し』。つまり、このサイクルの繰り返しです。
信頼構築パターンの例
マスク換気で絶飲食中の患者との関わり

表出を促す『HOWの問いかけ』
「今、不快なことはありますか?(マスク換気でよくある)口が乾きませんか?」
その答えに傾聴し共感を示す
「マスクの風で口が乾きますよね。お口の中がはりついて気持ち悪いですね。」
サポートできることを伝える(約束)
「お水を飲む事はできませんが、うがいやスポンジで濡らすことが出来ます。」
サポートの実行と次への声かけ
「(うがいの介助を実施)、他にも何かあれば伝えてくださいね。」
使い方の注意点!
信頼構築の重要ポイントは『約束を守ること』。
約束は必ず実行できることに限って使いましょう。
約束を守ることは日常では当たり前ですが、業務中は困難なこともあります。達成できれば信頼が深まりますが、約束が守られないと信頼は崩れてしまいます。
出来ない約束は患者を失望させるので、注意が必要。
例えば
ダメなのは、「水を飲んでいいか聞いてから飲みましょう」→飲むことを約束しているが指示がどうなるかは分からない。
正しくは、「水を飲んでいいか確認してみます。」→自分のできる範囲の約束に留めている。
関係構築のために約束を上手く使いこなしましょう。
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まとめ
場面と伝え方のまとめはこのようになります。
緊急時の報告には I-SBAR
連絡事項には PREP 法
信頼構築には 約束の繰り返し
この伝え方を意識すると、周囲からの評価も必ず上がります。
なぜなら、看護師の仕事がコミュニケーションで成り立っているからです。上記の場面に限らず、申し送りなどでは伝える力が不可欠。理論化されているため、苦手な人でも後天的に身につきます。
そして、一度習得すると人生の財産になるでしょう。
