
新型コロナウイルスで看護師の職場環境は一変しました。
現場ではストレスフルな状態がつづき、「もう辞めたい」「落ち着いたら辞める」という声も聞こえてきています。
このままでは離職者が大量に発生するでしょう。
では、現場ではどんなストレスがかかっているのでしょうか?
今回は、『新型コロナで看護師に起きている変化』を投稿します。
今実際に起きている『4つの変化』
いま、看護師に起きている変化がこちらの4つ
- 職業リスクを再認識
- 人間関係の悪化
- 病院の管理能力に失望
- バーンアウト・PTSD

単体でも離職原因には十分なストレスです。
しかし、現在はこの全てが同時発生しています。。。
順に説明します。
その1: 自分が感染するリスク

自分や家族が感染するリスク
もともと、看護師という職業には『感染症罹患のリスク』が付きものです(結核の発症リスク研究)。病気に一番近い場所で働いているので当然です。
しかし、普段はそこまで意識していません。その点、新型コロナは感染力が強く緊張感が桁違いです。
今は『忘れかけていた感染のリスク』を思い知らされている状態、家族にも感染すかも知れないと考えると恐ろしいと感じます。
そんななか業務にあたっていますよね。
世間から受けるストレス
新型コロナが他の感染症と異なる点があります。それは、看護師の感染リスクが高いと世間が認知し過剰反応していること。
それによって「看護師の子どもを登園拒否」「家族への中傷」などが起きています。
見ず知らずの人からも監視されているかのようです・・・
実際に『偏見』『差別』などの実害が生じている以上、職業によるリスクと言えるでしょう。
これまで深く考えたことのなかった看護師にも大きな影響が出ています。

看護協会は匿名で利用可能なメールでの相談窓口を開設しているので、我慢せずに使っていきましょう!(看護協会サイトへ)
自治体での取り組みでは、愛知県が全国に先立てて医療者向けの電話相談窓口を開設しています。
医療スタッフ間での偏見・差別もある現状
悲しい話ですが、コロナ担当スタッフへの偏見や差別は、同職者である看護師からも聞かれることがあります。
例えば、「コロナ病棟の看護師は正門を使わないで欲しい」「ロッカーを別にして欲しい」などなど。
いろいろあって悲しくなりますね。
その2:人間関係の悪化

もともと、看護師の離職理由は大半が人間関係の悩みによるものです。
コロナ渦の今、この『人間関係』が日々悪化していると肌で感じます。
コロナ渦で人間関係が悪化する原因は
- 新型コロナの患者を誰が担当するのか?
- 担当する回数に不平等がないか?
- 高ストレスにより円滑なコミュニケーションが欠如
患者さんや医療職以外の方が見ていたら気分を害するかもしれませんが、どの看護師も感染のリスクは踏みたくありません。
特に、『子持ち』『高齢の両親と同居している』といったスタッフからは「自分たちは担当から除外されるべきだ!」という声もちらほら。
しかし、その主張を通すとその他のスタッフからは当然反発があります。
はじめは水面下だった小競り合いが表在化したとき、病棟の人間関係は一気に崩れていきます。
崩れた人間関係は修復が困難、いっそ場所を変える方が楽だと考える人も出てくるでしょう。
今はまさにその過程を見ているような状態です。
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その3:病院の管理能力に絶望
、一般の看護師たちは様々な思いで上層部を見ています。

・病院が、新型コロナの危機にどうに対応しているか?
・職員を守ってくれるのか?
ただし、その評価も人それぞれで「末端の職員がないがしろにされている」と感じる人や、反対に「感染制御部門や病院幹部はよくやっている」と評価している人もいます。
病院に失望した人たちは「こんなところ早く辞めたい」「看護師を辞めたい」という思いを口にしていて、放っておくと確実に退職するでしょう。
特に多い主張は以下のようなもの
- 危険手当をつけて欲しい
- スタッフの意見がCovid-19対策マニュアルに反映されない
- 担当した看護師が滞在できる施設を確保して欲しい(自宅に帰りたくない)
逆に言えば、こういった要望に答えられる柔軟な組織は「ここに残りたい」と思わせることができます。
注意)労働者が職場環境の改善を訴えるのは大切なこと(労働三権)。
その4:PTSD・バーンアウト

将来的には、医療従事者のPTSDやバーンアウトといった精神障害が危惧されています。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
先日、イギリスBBCは『医療スタッフのPTSDリスク』について報道しました。記事を読むと、日本も他人事でないことが分かります。
特にこの部分。
新型ウイルス危機の前線にいるスタッフは、一般の人々が決して遭遇しないであろう事象に、常にさらされている。患者の死、同僚の発症、高度のストレス、増大するCOVID-19(新型ウイルスの感染症)の危険性などだ。
BBC最前線の医療スタッフに「PTSDの危険性」 新型ウイルス
イギリスと日本で現状の被害に違いがあっても、前線の看護師が置かれている状況や体験することには共通点が多いと分かります。
バーンアウト(燃え尽き症候群)
バーンアウト症候群とは
強い使命感や責任感を持って、人並み以上に仕事に取り組んでいた人が、あるときを境に、ちょうど燃え盛っていた火が消えるように、急に意欲を低下させ投げやりになったりする一連の症候群をさします。
http://www.a-h-c.jp/article/4958
リスクが高いのは新型コロナ対策に尽力した人たち。成果が感じられなかったり、やりきった後の虚無感が引き金になります。
PTSDやバーンアウトの予防には、精神科医やセラピストによるカウンセリングが効果的です。
過度なストレス・緊張を自覚したら『心を守るため』に行動しましょう。
個人的なストレス解消法は「近隣病院の情報あつめ」です。全体の流れが分かると安心します(転職する気はまだない)。

看護協会は匿名で利用可能なメールでの相談窓口を開設しているので、我慢せずに使っていきましょう!(看護協会サイトへ)
この変化はいつまで続く?

実際に「コロナが落ち着いたら辞めたい」と言っている同僚がいます。
しかし、はたして『コロナが落ち着くこと』はあるのでしょうか?
落ち着いたら辞めたいと言う人の心理としては

現場が困っている時に辞めるのは批判されそう・・・
ということもあるでしょう。
つまり、今はただ我慢して耐えているだけです。
いずれ我慢の限界が来る
もし、新型コロナがこのまま長期化していくようなら『コロナの影響を受けにくい職場』を求めて大量の看護師が転職することになるでしょう。

ボク自身もいつまで現在の環境に身を投じられるか分かりません。
職場の対応に不満はないですが、その他の要因もあり最終的には『自分と家族のため』に決断することになるでしょう。
同じような心境の人は多いと思います。

新型コロナで病院選びの基準は変わる

「新型コロナの流行は波のように繰り返す」などと言われては、これからの仕事選びにも影響します。
医療に関わる以上、感染のリスクをゼロにすることはできません。なので『職員の感染対策や手当が充実した病院』が人気になるでしょう。これまで以上に優先順位が上がるはずです。
病院経営者は看護師を集める必要があります。
コロナ渦によって「看護師の意識がどう変化したか」を調査し、どう待遇に盛り込むかが人材集めの要点だと言えるでしょう。
おわりに
コロナ渦の中、身の回りで起きている変化について投稿しました。
多くの職業がそうであるように、看護師にとってもこの出来事が『働き方』を考える機会となっています。
今は現場が忙しくて動き出していないだけで、騒動が少しでも落ち着けば”良い環境”を求めた看護師の大移動が始まるでしょう。
「家族が嫌な思いをしないか?」
「歳をとっても感染リスクと向き合えるか?」
自分にとっても悩みどころです。